パチスロ開発において、各セクションのスペシャリスト達がどんな考えで制作をしているかお届けする「お仕事紹介」シリーズ。
第二回は昨今のパチスロではとてもウェイトが大きい【演出企画・映像企画】をご紹介します!
4号機終盤や5号機時代に突入してからパチスロを打ち始めた世代にとっては、パチスロに液晶が付いているのは当たり前ですよね。
液晶はパチスロの遊技を盛り上げるのに今や不可欠なデバイス。
液晶でどんな演出をするか、ゲーム性や出目にどんな映像を当て込むか
というところが演出企画の主たる業務です。
我々オッサン世代からするとリールよりも液晶を凝視して遊技するというのは寂しい限りですが、それも時代の流れ。
パチスロ開発の門を叩く若者の中でも、この演出企画・映像企画を志望する人が多いのが実情です。
また液晶機を開発するとなるとほぼほぼ版権を使わせていただくことになりますが、パチスロのターゲット層が比較的若年層ということもあり、若者に人気のアニメ版権などを起用するケースが多いため、演出・映像を企画するにはそもそもその版権を知っている若い企画者のセンスが欲しいところです。
そんな年齢層低めな演出企画・映像企画の業務内容を見ていきましょう。
メーカーさん、開発会社さんによって演出企画の定義も様々で分掌が異なることもありますがご了承ください。
演出、映像構成の考察
おそらく企画者にとって一番楽しい業務ですね。
版権を研究し、それを活かした演出内容の考察・検討を行います。
汎用的な演出からスペック・システムに合わせたその機種独自の演出まで映像の構成を固めていき、絵コンテ・映像制作を依頼するための映像仕様書や、液晶制御プログラマーに渡す制御仕様書・演出コマンド表などの資料に落とし込んでいく流れです。
制作物量が費用に直結しますので、これらの資料を作成していく際に予算の感覚を持ち合わせているかも企画者としては大事な要素ですね。
ですが、演出の企画者としての一番重要な要素は
綺麗な映像を作るよりもパチスロの演出として面白いものを作るという意識だと思います。
ここでもやはりパチスロに対する情熱。これに尽きますね。
パチスロを良く理解し、仕様やスペックにマッチした演出を生み出す人こそ真に優秀な演出企画者、というのが自分の考えです。
規則や試験に関する知識
あまり一般的には知られていない話かなと思いますが、行政より5.5号機への移行が通達された際、出玉規制だけでなく演出表現にも大きく制限がかかることになりました。
「遊技の結果を誤認させる演出表現はけしからん」
ということなんですが…
例えば、
有効ラインが中段1ラインで
上段に「リプ・リプ・リプ」が並んで再遊技 という組み合わせがあった時に、第三停止後に液晶でリプレイ図柄を表示したりバックランプで上段を強調するのはNG
といった内容です。
むしろプレイヤーにリプレイであることを誤認させないための演出なのに何が問題なんだ
という話ではありますが、こういった演出が型式試験時に発生すると実際に不適合になる可能性があります。
こういった試験上のリスクを回避することを意識した上で企画を練る必要がありますので、規則や試験に関する知識も企画者には必要です。
例に挙げたような演出以外にも誤認でのリスクは様々あるのですが、それはまた別の記事でまとめようかなと思います。
演出抽選システムの構築、演出数値のスペック振り分け
会社によってメイン仕様企画やサブ制御担当者が受け持ったり様々ですが、演出に関わる重要な要素ですので演出企画の業務としてご紹介します。
スペックやメインシステムと合わせて演出抽選システムを構築し、演出抽選値の振り分けをして演出の出現頻度や期待度を調整していきます。
ゲーム性・スペックを活かすも殺すも演出の頻度と期待度のバランス次第
せっかく企画して気合いを入れて作った映像も、頻度と期待度がメチャクチャでは無意味なものになってしまいます。
開発工程全体の中でも一番重要視される部分ですし、申請直前ギリギリまで細かな調整をして魂を込めていく業務です。
ということで簡単ではありますが、演出企画・映像企画の業務内容の概要でした。
単なる美麗映像を作るのではなく、パチスロの演出としてアドレナリンの出る・心に残りまた見たいと思える映像を作る。
映像表現に関する知識とパチスロに関する知識、それらへの情熱を持ち合わせた企画者が皆様を熱くさせる演出を生み出すために日々努力しております。
今後も皆様に刺さる演出を搭載した機械の登場を心待ちにしていただければと思います。
今まで打ったパチスロの中で一番好きな演出は、大花火の「間延び」という中年開発者がお送りしました笑