パチスロ開発のお仕事紹介〜サウンド制作編〜 -とある開発者の独り言-

皆さんの一番好きなパチスロのサウンドは何でしょうか?
エピソードで流れる歌が好き!とか
特化ゾーン中のBGMがカッコいいんだよな〜 とか
あのタイミングに鳴る確定音に脳が焼かれる とか
中には 無音がたまらん なんて人もいるのではないでしょうか。

過去記事でも書きましたが、自分の一番好きなパチスロのサウンドは大花火の間延びです笑

パチスロにおいて、液晶映像による演出だけではなく、音や光による演出も非常に大事な要素ですよね。
あの曲や音が聴きたいからまた打ちたい、とリピートにつながるようなサウンドを作るべく制作サイドは日々努力を続けています。

ということでお仕事紹介シリーズ第6回となる今回は【サウンド制作】についてご紹介します。
自分は音作りに関しては素人ですので専門的な内容は書けませんが、パチスロ開発の中でクリエイターがどのように業務を進めているかお伝え出来ればと思います。

それでは今回も、業務の流れから見ていきましょう。

サウンド制作の業務の流れ

・遊技音の制作
プロジェクト序盤の企画フェーズで仕様や演出内容が固まり制作フェーズに入るとサウンド制作部隊の出番となるわけですが、出来上がった映像を確認してから音素材を作成し組み込んでいくことになりますので、本格的な始動はプロジェクト中盤以降です。

まず制作の序盤では、映像演出の影響を受けない遊技音の制作を進めるケースが多いです。
BET音、レバー音、ストップ音、各種小役の払出音など。

遊技を彩り打感に影響する大事な部分ですので、何パターンも何セットも制作してプロジェクト全体で意見を出し合って決めていきます。

・BGMの制作
映像のアニメーションやエフェクトなどは制作が進む中で随時変更が入っていきますので、後工程となる演出関連のサウンド素材は映像の尺や構成が確定するまで仮制作にとどめておき、影響を受けにくい状態ごとのBGM制作を序盤から進めていきます。

ステージの見た目や出玉の状態等を理解しイメージに合ったBGMとする必要がありますし、プレイヤーのその台に対する印象に直結する重要な要素です。

・歌唱楽曲の制作
現在は版権物が主流ですので基本的にはその版権のオープニングやエンディングの楽曲を使用することが大半ですが、場合によってはオリジナルの歌唱楽曲を制作することも。

作詞作曲して歌い手の方をブッキングし収録していきますが、サウンド担当者もこの時ばかりは楽しそうに目を輝かせて制作していますね笑

・演出SEの制作
映像素材があがってくるタイミングで演出の効果音制作に取り掛かります。
一つ一つ映像を確認しその演出の使いどころや期待度を企画とすり合わせながら音作りをしていきますが、昨今のパチスロは演出量が多く変更が入る頻度も高いため、とても時間がかかり根気がいる作業です。

・音声収録
演出が固まりセリフの内容が決まったら台本に落とし込んで音声の収録を進めていきますが、仕様や演出の変更によりセリフの内容も変更しなければならないケースが多いため、収録は開発の後半に行うことが多いです。

人気の声優さんを起用する場合はスケジュールをおさえるのも難しく費用もかかるので出来るだけ録り直しは避けたいところですね。

ちなみに収録の現場はとても楽しいです!大物声優さんの収録に立ち会えた時などは開発冥利につきるなと思います。

・組込、実装
音素材が仕上がったらプログラマーと連携して組込を進めていきます。
演出のコマンドごとに、映像尺に合わせてどの音をどのタイミングで鳴らすか全て指定していく流れです。

また音のチャンネル設定=優先度の設定も重要で気を使う部分です。
例えばエラー音は何よりも優先するので一番上位のチャンネルに登録する必要がありますし、とある音が再生されている時に同じチャンネルの別の音が再生されると元々再生していた音が消えてしまいますのでBGM、SE、セリフなどカテゴリごとにチャンネル設定して管理していく必要があります。

音が鳴らない、消えないといったバグの要因にもなりやすいところですね。

・実機調整
組込・実装が完了したら最終段階。実機で音量や音質の最終調整を行います。
聴かせたい音が埋もれないように細かな調整をかけつつ全体の音量も調整していきますが、その基準はメーカーさんごとに様々。

全ての機械が大き過ぎず小さ過ぎずちょうどいい音量設定になるのが望ましいですが…
会社として音量が定められていることが多く、開発としては如何ともし難いところですね汗

サウンド制作者の思い

こうして書き出してみると、一言でサウンド制作といってもただ音を作るだけの仕事ではないなと改めて感じますが、そんなサウンド制作のメンバーがどんな考えで制作に向き合っているかお伝え出来ればと思います。

・パチスロの演出としてクオリティの高いサウンド演出を作る
パチスロ開発に携わっている以上、単に良い音を作るというだけではなく、パチスロの演出としてクオリティの高いサウンドを、と考えるクリエイターが多いです。
冒頭に挙げた無音や間延びなど、ただ派手な音を出せばいいものではないですよね。
プレイヤーにドキドキしてもらえる演出を作ることを常に意識しています。

・プレイヤーの心に残る音を作りたい
とはいえやはりクリエイターですので、音自体への研究心やこだわりも強いです。
他機種に良い音があれば調査し、大事な局面で鳴らす音は納得するまで作り直す。

背中の島にいるプレイヤーが思わず振り返るような音作りを目指し、センスを磨き努力を続けています。

・プログラマー的思考も必要
音作りのセンスだけではなく、組込・実装においては膨大なデータを整理しミスなく組み立てるプログラマー的な思考も必要です。

サウンド関係はバグの要因にもなりやすい部分ですので、データ管理・チャンネル管理に秀でたサウンド制作者はとても貴重ですね。


ということで今回はサウンド制作のご紹介でした。
パチスロにとって非常に重要な要素ですし、仕様やスペックの規制の影響を受けず進化していけるジャンルです。


今後も心に残る音を搭載した機種の登場にご期待ください!