Global Pachinko株式会社の長北(https://x.com/global_pachinko)でございます。
最近少し話題にのぼることが多かった『業界を盛り上げる』というフレーズ。使い方を間違えるとすごく印象の悪い聞こえ方をしてしまいます。
直近において某氏が令和の虎でノーマネーとなった件や、 店舗が他業種インフルエンサーを招へいすることに一定の反対意見が出たことなど、 “盛り上げる”と口にすると何故か湧き出る反対意見。
この記事ではその理由を整理したうえで、 インバウンド中心に新規客層を開拓し続ける、「業界を盛り上げる最前線に立つ立場」として、何を改善すべきかについて提案をまとめます。
なぜ“業界を盛り上げる”は叩かれるのか?
① 言葉の“意味の空洞化”が進んでいる
「盛り上げる」という言葉は本来ポジティブなはずですが、
使われすぎたことで“具体性が抜け落ちたスローガン”のように扱われています。
店舗側から見れば、
• 設備投資
• 人材教育
• 業界団体業務
• 地域施策
• 機械購入
などなど、「盛り上げる」ための努力は山ほどあります。
ところがSNSではこの背景が共有されず、 「具体性のない言葉=口だけ」と解釈されがちです。
② 「盛り上げる=被害者を増やす」という誤解が強い
特に一般層・SNS層には、 “店舗の利益=誰かの負け”というゼロサムの誤解が定着しています。
その物語の上では、
• 盛り上がれば店舗が儲かる
• 儲かれば客の負けが増える
• だから盛り上げる=悪だ
という非常に単純な構図が成立してしまう。
依存症問題や“負け報告文化”が強調される昨今では、
こうした誤解が一層強くなっています。
しかし実際の現場は真逆です。
健全に長く遊んでもらえる環境を作らなければ、店舗は持続できません。
粗利だけを追えば稼働が落ち、翌月には売上そのものが崩れます。
これを理解していない世間の声が“盛り上げる叩き”に繋がっています。
③ インフルエンサー=射幸心煽り、という偏見
YouTubeやXで“盛り上げる”を掲げている人を見ると、視聴者の一部は「どうせ煽り目的だろ」と嫌悪しがちです。
店舗が他業種のインフルエンサーを起用した場合も、
• 業界の金で外部に遊ばせている
• 射幸心を刺激するために使っている
• 結局、負ける人を増やすだけ
という短絡的評価がつきやすい。しかし実際は、
• 新規層の獲得
• 文化的文脈の拡張
• パチンコの「体験価値」の説明
• (ウチの仕事に絡めるなら)インバウンド対応
など、店舗運営だけでなく、プレイヤーにもメリットのあるアプローチが多い。
この認識ギャップが、批判の火種になっているのです。
「業界を盛り上げる」とは本来どういう意味か?
叩かれる理由の多くは“誤解”にあります。
問題は言葉ではなく中身の不透明さです。
では、本来の盛り上げとは何を指すのか。
① 新しい来店動機を作ること
• 若年層
• 女性客
• 休眠層
• インバウンド
• その他ぱちんこを認識していない層
など、新規顧客の来店動機の創出は最大の盛り上げ施策です。
(少しステマをするのであれば、特にインバウンドは、依存構造と最も距離が遠く、「健全な市場拡大」そのものです。)
② 初回体験の改善(理解・安心・安全)
• 多言語化
• 店内の視認性
• 台の遊び方説明
• 店内ルール、マナー、その他店舗内における一般知識の掲示
• 店舗導線
これらは勝ち負け以前に “遊技としての体験価値”を高める施策です。
③ 適正粗利と遊技環境の最適化
適正粗利は“善”。過剰な回収は翌月の稼働を死なせ、結果として業界の衰退を招きます。長期滞在ができる環境こそが“盛り上げ”です。
④ 業界イメージの改善
ここは店舗だけでなく、メーカー・組合・メディアが連携して取り組む領域ですが
• 透明な情報公開
• 文化としての見せ方
• 新規市場への接続
あたりが必要なことでしょう。
「盛り上げる」と言うなら、必要なのは“言葉より中身”
これからの時代、店舗が“盛り上げる”と発言するときに必要なのは、
感情や声量ではなく、具体性です。
• どの客層に
• 何を提供し
• どう行動を変え
• 最終的にどんな市場を作るのか
これが語られた瞬間、“盛り上げる”はスローガンや掛け声ではなく、“戦略”になります。
そのうえで、私たちができる改善提案
業界の最前線でインバウンド・翻訳・導線設計を担当している立場から、
現実的かつすぐに実行できる施策をまとめます。
① 「負けさせる産業」という誤解を正す情報設計
店舗店内・SNS・観光媒体において、 “体験型エンタメである” という情報設計を徹底すべきです。
• 予算管理の方法
• 遊技開始〜終了までの流れ
• 勝ち負け以外の楽しみ方
• その他遊技内外の体験共有
これらを言語化・視覚化して伝えるだけで、誤解は大幅に減ります。
② 初心者サポートの強化(特にインバウンド)
訪日客は“勝ち負けに依存しない顧客”です。彼らが安心して遊べるようになれば、店舗のイメージは劇的に改善します。
③ 店舗・メーカー・演者の役割分担の明確化
「誰が何を盛り上げるのか」を明確にすることで、誤解が生まれなくなります。
• 店舗:体験価値の提供
• メーカー:コンテンツ価値の提供
• 演者:文化の拡張・初回接続
この役割分担が言語化されれば、 “盛り上げる=煽り”という誤解は消えていくのではないでしょうか。
結論
『業界を盛り上げる』が叩かれるのは、言葉自体ではなく “中身の見えなさ” が理由。
そして本来の意味は、 プレイヤーの被害を減らし、体験価値を高め、持続的に市場を伸ばすこと。
店舗がやるべき“盛り上げる”は、実際に「来店動機」を作り「安心して遊べる環境」を整えることです。
これを丁寧に積み重ねた時、 初めて“盛り上がった業界”が実現します。


