パチスロ開発のお仕事紹介〜プログラム制作編〜 -とある開発者の独り言-

パチスロ開発のお仕事紹介シリーズ、第4回の今回は【プログラム制作】です!

プログラマやソフトウェア開発者などと呼ばれる面々が集まるプログラム制作のセクションは、ゲーム企画や映像企画、出玉設計などのメンバー中心に考えた内容をパチスロに落とし込む技術者・職人の集団です。
実際に仕様や演出を組み上げるプログラマがいなければパチスロの開発は成り立ちません。表面上は見えないところですが、ノウハウや技術力の差が機械のクオリティの差に直結しうるコアな部門ですね。

ということでそんなプログラム制作の概要をご紹介していきたいと思います。
今回も具体的な業務内容の話はありませんが、何卒ご了承の程。

プログラムの種別

ハード構成によるところもありますが、パチスロ開発で制作する制御プログラムは大きく分けて3種類あります。

・メインプログラム
パチスロの心臓部であるメイン制御です。
メインROMを挿す基板は主基板・メイン基板と呼ばれ、メダル投入の受付・払出、レバー・停止ボタン、成立フラグの抽選、リールの回転・停止制御、サブ基板へのコマンド送信など、遊技の根幹となる部分を制御するプログラムとなります。

また、5.5号機以降はAT抽選等の出玉関連の処理もメイン制御で行っています。
メインROMは規則で容量が定められており、これらの処理やデータを全て限られた容量の中におさめる必要があるのです。

・演出制御プログラム
映像・サウンド・ランプなどによる演出は、周辺基板(サブ基板)で制御しています。
サブ基板のハード構成は様々ですが、一般的に制御ROMCGROMの2種類のチップで構成されており、それぞれ演出制御プログラム、映像データ及び液晶制御プログラムが搭載されます。

制御プログラムは主にメインからのコマンドの受信と解析、演出パターンの管理、演出の抽選、液晶制御へ表示する演出のコマンドを送信 といった処理が行われます。

処理の流れ的にサブ基板の中で上流に位置するため、開発内では「サブメイン」と呼ばれることが多いです。
サブメインROMは比較的容量が小さいことが多く、空き容量を気にして演出抽選等を構成する必要が出てくることもままあります。

・液晶制御プログラム
液晶映像などの演出を表示する制御を担う部分です。
こちらは処理の流れの下流にあることから「サブサブ」と呼ばれることが多いですね。

昨今はパチスロでも様々なUIやアイコン等を液晶に同時に表示したりすることが多くサブサブ制御も複雑化しており、特有の技術や経験を要します。

また、パチンコほどではありませんが映像データ容量は増大する方向で進んできました。
それでも映像演出の物量やクオリティを担保しようとすると容量が足りなくなることは多く、何らかの方法でデータを圧縮しなくてはと四苦八苦する場面がしばしば見られます。

効率的なプログラム作成

ここまで記載してきた通り、どの種別のプログラムにおいても、企画や出玉設計が求める仕様を如何に容量を抑えて組み上げるかというところがまずプログラマの腕の見せどころ。

少ない容量で仕様を実現出来ればさらに別の仕様を追加したりデータを増やしたり出来ますし、容量がおさまらなければ搭載したい仕様を諦めたり処理やデータを削減しなくてはなりません。

序文で「機械のクオリティの差に直結しうる」と述べたのはこの部分です。
どんなに面白い企画を考えても実現出来なければ意味ないですからね。

「こういう処理にすれば効率良く同じゲーム性が出来るよ」といった提案をしてくれるプログラマはなおよし!
企画や設計の意図を汲んでくれると業務の効率も上がりますよね。

各種支援ツールの開発

昨今、複雑な制御や膨大なデータを作成したり組み込んで行くにあたり各種支援ツールの存在は必要不可欠。

リール配列作成ツール、リール制御・停止データ作成ツール、出玉シミュレーター、演出パターン作成ツール、映像データを取り込んで演出のイメージや流れを確認する演出シミュレーター、ランプデータ作成ツール などなど。

これらの制御やデータは何も無ければただの数字の羅列だったりするので、そのまま直接作成すると普通の人間には膨大な時間がかかりますし精度も低くなりますが、支援ツールがあることで開発期間の短縮・コスト削減やクオリティの向上が見込めるわけですね。

使う側のことを考えて、ビジュアル面や操作感に優れたツールを作成する開発力もプログラマには重要な要素かなと思います。


ということで以上、プログラム制作のご紹介でした。

繰り返しになりますが、実際に機械の中身を作る重要なセクションであり、各社の抱えるプログラマの技量次第で機械のクオリティにも差が出ることがあります。

機械を見たり触る際にそのような職人たちの仕事ぶりを何となくでも感じていただけたら幸いでございます。