2025年11月中旬に業界内を駆け巡った「L荒野のコトブキ飛行隊」の攻略法騒ぎ。この手の騒動は歴史上過去にも色々な事例がありました。古くはコンチネンタルの4枚BET打法、サミー機のレバーコピー打法などなど。一番記憶に新しいところで言うと、5号機サクラ大戦3で出玉率100%超えてしまっておりメーカーがホールへ営業補償した事例もありましたね。今回のコトブキの件はそれらに匹敵するレベル。業界としては10数年ぶりの大きな事案となってしまいましたね・・・
今後メーカーがホールさんへどのように対応していくのか続報が気になるところです。
事の顛末・真相は当事者しか知り得ないことでして全て想像の域を出ませんが、今回はコトブキ騒動について開発者の立場からの所感を書かせていただこうと思います。あくまで開発の端くれにいる個人のイチ意見としてご覧いただければと思います。
不具合の内容
自分は騒動の最中にSNSで拡散された動画でしか実機の挙動を見ておりませんが、通常時に変則押しで遊技すると数Gで高確へ移行し、前兆→CZと遊技が進んでATへ繋がる流れとなっておりました。また特化ゾーン中も変則押しが有効になっているようで、本来ペナルティがかかるべき箇所が意図しない挙動となっているように見受けられました。
まずこの挙動に関しては、間違いなく意図的な仕込みなどではなく不具合・ミスだろうと想像します。昔の時代ならまだしも、今の時代に開発・メーカー側がこのレベルに簡単手順・効果絶大な内容を仕込むメリットは全くないというのは断言出来ますし、その他の理由も考えづらいですね。
ただ、実機の挙動を見てもペナルティ時のフラグ変換のミスなのか停止出目を見てレア役として処理が書き換えられているのか詳細は不明ですが、なぜそのような挙動になっているのか・変則押しを少しするだけですぐに見つかるような挙動がなぜチェックをスルーしてしまったのか理解し難いところです・・・
原因の予想
遊技機の開発においては、おそらくほぼ全てのメーカー・開発会社が自社内のチェックだけでなく第三者のデバッグ専門会社にチェック業務を依頼しております。AT機においては、変則押しやペナルティ時の挙動を仕様書に記載し、想定通りの挙動となっているかのチェックは必須項目となりますので、コトブキ飛行隊においても間違いなくチェックは行われているものと思います。
あくまで自分の想像ですが考えられる原因としては、開発終盤に仕様変更を行ったもののペナルティ動作への影響は無いと判断してチェックを行わなかったためにスルーしてしまった、というぐらいでしょうか。チェックさえしていればすぐに見つかる挙動ですので、そのぐらいしか原因が思い付かないというのが正直な所感です。
本件に対する所感
おそらくどのメーカーさん、開発会社や開発者の方も、今回の件は他人事ではなく、改めてデバッグ・チェックの重要性を再認識させられたのではないかなと思います。
遊技機はソーシャルゲーム等と違いリリース後のアップデートが出来ませんので、開発期間中に全てのバグを取り切るのがマスト。色々な会社事情で予算や期間が限られているケースは多いですが、そんな制限に関わらず、万が一今回のような不具合が発生してしまった場合の損害は計り知れません。どんな状況でもデバッグ・チェックは油断せず実行する必要がある、と改めて思い知らされた次第です。
以上、コトブキ飛行隊の件について一開発者の所感でした。
多くの皆様には関係の無い話ではありますが、開発者は皆バグや設計ミスに怯えてリリース日を迎えるということも合わせて伝わりましたら幸いです汗


