6号機のノーマルAタイプ -とある開発者の独り言-

ホール関係者の方やプレイヤーの方で、 6号機のノーマルAタイプ(以下、ノーマルタイプ)に絶望を感じている方、多いんじゃないでしょうか?

ええ、自分も同じです…

5号機のAT機・ART機の射幸性を抑えることが大きな目的だったはずの6号機の規則ですが、むしろノーマルタイプに皺寄せがきてしまっている状況です…

そこで今回は
「なぜ6号機のノーマルタイプが厳しいのか」「今後の展望」を、相変わらずの個人的な主観で書いていきたいと思います。
皆さん周知の内容かとも思いますが、お時間あればご一読いただけますと幸いです。

なぜ6号機ノーマルタイプが厳しいのか

まずは、遊技機規則の変更による影響について。

AT機・ART機は有利区間など自主規制により性能の抑制がされていますが、その根本で遊技機規則によって全体の出玉性能が大きく抑制されています。

当時の当局の思想は
「5号機→6号機で出玉性能を2/3にする」でした。
この考え方のもと、規則に記されている出玉関連の数値のほぼ全てが約2/3にされてしまいました。

中でも特にノーマルタイプへの影響が大きいのは下記。
(今回もなるべく専門用語は避けつつ抜粋して記載します。が、規則の話になるとどうしても小難しい単語が出てきます、ご容赦を)

一種役連(BIG)の最大払出枚数

 二種役連非搭載 460300

 二種役連搭載  360225

出玉率

 短時間(400G)   300%220%

 短中時間(1600G)     新設  150%

 中時間(6000G)   150%126%

 長時間(17500G)    120%115%

 

 長時間下限     55%60%

まずボーナスの獲得枚数を削られたのが痛い。
一種のみでも最大獲得280枚…
二種(MB)を搭載するとビッグと呼ぶのも憚られる枚数しか獲得出来ません。

ここはプレイヤーの打感、出玉感に直結するところですからね。
「ビッグでこれしか出ないのか」と感じるプレイヤーは多いでしょう。

ちなみになぜ二種搭載にする機種があるのかというと、そのメリットは規則上、役物比率(ボーナス出玉の比率で高過ぎると不適合自由となります。)が優遇されているから、すなわちベースを下げることが出来るからですね。

低ベースのノーマルタイプは二種搭載機だったりするわけです。
直近だと最近発表のあったハイハイシオサイ2などは二種搭載機だと思われます。BIGの獲得枚数も200枚未満ですもんね。

次に、出玉率についても高設定域の数字が5号機と比べると劣化してしまいます。プレイヤーが腰を据えて打ちたくなる気持ちを削いでしまうには十分な差があります。
また、出玉率に関しては下限も引き上げられたので役物比率をクリアするためにもベースを上げざるをえず、相対的にボーナスの確率や獲得枚数を下げざるをえないことになっています。

AT機・ART機は遊技機規則以外の部分、自主規制の緩和で出玉性能が向上する可能性がありますが、遊技機規則は法律なので簡単には変わりません。

これらの数値が変わるのは7号機になる時。
当面の間は緩和は見込めない状況です。

続いては試験方法について。

ノーマルタイプの試験方法は6号機で大きく変わってはいません。
前回の記事と重複しますが、ノーマルタイプでは下記の出玉試験が行われます。

①シミュレーション試験

俗に言う「神打ち」。
成立した小役・ボーナスを問答無用で取得。
配列上同時に狙えないとかも関係無し。
ベルもピエロも一切取りこぼさないし、ボーナスは成立ゲームで揃えます。

②ランダム試験

目押しなしの適当打ち・押し順ランダム。
出玉率の下限に引っかからないよう注意が必要です。

※前回書いた③④はノーマルタイプでは行われません。

それだけ聞くと、AT機より試験回数少ないじゃん?何で厳しいの?と思われるかもしれませんが、上記①②の試験は、全設定で行われます
AT機のシミュレーション試験やランダム試験はゼロボ等の対策を取ることでかなりの確率で対策出来てしまいますが、ノーマルタイプでは試験対策は出来ません。正々堂々の勝負ということになるわけです(笑)。

設定が6段階あれば厳しい試験を6回も乗り越えなければならないのです。
なので実は、適合率で言うとAT機よりノーマルタイプの方が断然低いとも言えるんですよね。
※ちなみにノーマルタイプで4段階設定なんかの機械が多いのはこのため。
 試験回数を減らして適合率を上げるのが目的です。

さらに、規則による出玉の抑制も受けた中、5号機と遜色ない出玉率にしようとすると適合率は非常に低いものとなります。
某ピエロ系の最新機種はボーナス確率や出玉率が5号機とほぼ同等となっているようですが、上述の通り適合率は相当に低いと思いますのでかなりの本数を試験に持ち込んだんだろうと思います。
申請費・申請期間をいくらでもかけられればいいのですが、メーカーさんも予算や販売計画などがあると思いますので、どうしても適合率を上げざるをえない状況になることも多々あるでしょう。。

結果、適合率が高く出玉性能が抑えられた機械が販売されていくことになります。

6号機ノーマルタイプがなぜ厳しいのか、何となくご理解いただけたでしょうか。

今後の展望

やはり根本の規則が変わらない限りはノーマルタイプの出玉性能の向上は見込めません。
純粋なノーマルタイプは開発の努力ではどうしようも出来ないところといえ、まだまだ当面の間は苦しい状況が続きそうです。

ただ、試験方法についてはAT機だけではなくノーマルタイプも緩和を求める動きがあります。
もしシミュレーション試験を最高設定だけ取る形になったりすれば、適合率は大幅に上がり販売される機械の出玉性能は向上することでしょう!
自主規制ではなく、遊技機規則の内容となりますので、緩和が認められる可能性はまだまだ低いかもしれませんが、ノーマルタイプを主軸にするメーカーさんにとっては死活問題ですから全力で交渉に臨むはずです。
是非いい方向に進んで欲しいと切に願います。

あと開発としてだけではなくノーマルタイプ好きのいちプレイヤーとして、リール配列・停止制御の更なる技術力向上には期待したいところです!
4号機から5号機へ移行した際、配列・停止制御に関わる部分にも大きく変更が入り、当初は魅力的な配列・停止制御を作成することが非常に困難でした。

5号機初期の機械はほんとひどいのが多かった…
それが年月を追うごとに技術が進歩し、5号機の規則の中で4号機の配列を完全に再現出来るほど進化したのです!
ホールさんやプレイヤーからはあまり見えづらい部分かと思いますが、開発目線ではものすごい進歩でした。
6号機規則では配列・停止制御に関わる部分は5号機から変更ありませので、今後も開発努力で日々進化していくことと思います。

出玉性能だけではなく、出目や演出の素晴らしい機械が登場することでノーマルAタイプ市場が盛り上がってくれると嬉しいです。
これは展望ではなく希望的観測ですね笑

ということで今回はノーマルAタイプについて書いてみました。

5号機と共存しているうちはヒットは難しいかもしれませんが、6号機だけのマーケットになった時にAタイプのシェアを維持出来るよう、開発も努力しています。

是非期待していただければと思います。