時代が変わるっていうけど、どう変わるか想像してる? -実践主義マーケターからの提言-

前回の続き(前回記事:「未来(新規則時代)の競争戦略を考えよう」はこちら)になります。

商圏分析をする際にハフモデルという概念が存在します。ハフモデルとは「顧客と施設の距離×売場面積×売場の魅力」で吸引力を求め、施設の効力が発揮できる商圏を計算する方法です。大型のショッピングモール、シネマコンプレックス、もちろん大型のパチンコ店出店の際の商圏設定をする際に基本となる分析手法です。
このハフモデルを新規則時代に当てはめれば、売場の魅力が低下(射幸心の低下)することは避けられません。すなわち商圏の縮小は避けられないことになります。特に問題になるのは人口密度の高いところから外れた大型店です。もしくはドライブタイム15分程度をターゲットにした巨艦店舗は商売のベースが変わります。

その課題解決に適当なのが期待値キッズをターゲットにした「パチンコ天井付き看板機種」です。
期待値キッズが能率性を上げるために必要なのは、【期待値台の数×試行回数】となり、結果的に「パチンコ天井付き看板機種」の台数と稼働状況が重要になります。
期待値キッズを吸引するハフモデルは「パチンコ店の距離×天井付き看板機種×稼働状況×期待値台数×運用スタート」となり、その効力は期待値キッズの集客だけではなく、店内盛況感、新台回遊、パチスロ回遊など副次的効果も見込めます。
私の試算だと天井付き×高稼働×看板機120台×その他のコーナーがあれば常時20台以上のお宝台が発生し、20台×5倍の集客効果を見込めば100人程度の期待値による集客が可能。それ従来の新台、利益率、企画などの通常の来店動機を重ねれば【脱旧基準時代でも変わらない集客】ができるのではないかと高を括っています。
それにかかるコスト?『牙狼』を中古市場から調達しても80台で1億円。月粗利1億円以上を狙う店にとってはたかが知れています(笑)。

今後SS級のコンテンツ -天井付きスペックでは発売されない-

メディアシステムのエンタープライズの客数分析を進めると(エンタープライズ内のコンサルコラムも執筆中です。ぜひご覧ください)、客数上位店舗における客数比率は
『牙狼』(8.5%)>『ガンダム』(6.2%)と『牙狼』優位ですが、
店舗下位の傾向は
『牙狼』(6.8%)>『ガンダム』(6.2%)と差はなくなります。
このデータから考察できることは、【客数上位店舗以外では天井なしのほうが稼働しやすい】ということです。顧客目線で考えれば稼働がなく、スタートが渋い天井機などデメリットの塊だということは想像するまでもありません。

メーカーの立場で考えれば、購買力のある上位店舗に必要な機械提供はもちろんですが、上位店舗だからこそ天井なしでなければならない理由もありません。メインコンテンツだからこそ店舗競争力を問わず、汎用性のあるスペックで販売することは至極まともな考えです。

ということは・・・・『牙狼』は今後ライバルがいない独自機種であり、独自の集客装置になりえる可能性がある。集客できる固定島=『北斗無双』の代替が可能となる。
さらに・・・『北斗無双』は期待値アップ=スタート向上=赤字拡大というシンプルな図式でしたが、『牙狼』では期待値アップ=赤字拡大ではない。しかも・・・稼働が不可欠なので店舗順位の劣るライバルにミートできない。こんな条件が揃って100万円!
ただし、この戦略を実行できる店舗は全国に1,000軒程度(10万人商圏の一番店)×イカレタ店長というハードルが存在します。現状の中古価格が『ガンダム』>『牙狼』となっているのは、『ガンダム』に汎用性があり、導入台数が少ないことに起因しています。

使用可能な店舗が絞られる『牙狼』の今後のニーズを推測すると1,000店×40台=4万台。再販台数を考慮しても市場台数は4万台。絶対王者以外のニーズも含めると、需要過多になることはないでしょう。高騰もしないが暴落もない。ならば仕掛けるのは早いほうがいいに決まっています。現状では満足できない欲しがり屋のそこのあなた。戦略的優位をとる為に必要な投資は、一台当たりたったの100万円ですよ(笑)。

オペラント条件漬けの期待値キッズ

  • A:ボタンを押して毎回チーズがもらえるネズミ
  • B:ボタンを押して50%の確率でチーズがもらえるネズミ

この実験の際に継続性をもってボタンを押し続けたのはBのグループです(オペラント学習)。
結果がランダムのほうが持続のエネルギーが保たれた。という有名な実験です。

  • A:私は誘われればアフターも行くし、なんなら…というレディ
  • B:私は誘われても基本的にアフターはいかないし、身持ちも固い…というレディ(でも可能性は0%ではない)

この実験ではリピートするのはBのグループです(独自調査w)
Aのグループは何かの拍子で報酬が途切れたタイミングでやめる。毎回なので飽きる。パチンコ屋を営むにあたってオペラント学習は非常に参考になると思います。

やはり人の行動を強化するのは「やれそうだ!」という希望と「チャンスはいつ来るかわからない」というランダム性。マーケティングの基本は【第一想起入り】と【どうにもならない忘却】。端的に言えば、気になって気になって仕方ない。それができるのが高稼働の天井付き看板機種コーナーなのではないでしょうか。そうです。天井付き看板機種コーナーはオペラント条件漬けキッズの製造コーナーであるのです。

エンジョイピーポーが時代を救う

【やれるかもしれない!】と常に希望を抱き、戦いに敗れても【期待値では勝っていた!】という名言を残す数々の勇者たち。
「オペラント条件漬けの期待値キッズ」などと酷いネーミングは最大限の愛の表現であることはご理解ください。

失敗をするほどに成功に近づいている

エジソン

努力は必ず報われる

高橋みなみ

期待を胸に戦うことをやめない。悠然とハマり台に立ち向かう。ときに己を信じ、ゼロから向き合う。やはりですね、最後はエンジョイなんです。今を楽しんでいるか?

未来予測の精度を追求し、万全に備えても、疫病や天変地異を前にはなすすべはありません。それでも未来を作るのはポジティブな考え方と、ポジティブなエネルギーに支えられた行動です。今、この業界の業績を支えているのは間違いなく、様々な期待値を胸にパチンコを愛するエンジョイピーポーなのだと思います。

今回ご紹介したマーケットの事例の中にも多様なエンジョイの形がありました。時代が変わるということは今までのやり方が変わるだけです。エンジョイの仕方が変わるのです。しかし、そもそも遊び心がない人や、仕事を義務で請け負っている人にとってはHOWTOがないことは一大事なのでしょう。そんなときは遊びに行って下さい。今の仕事を投げ打ってエンジョイすることをお勧めします。今の延長線上に保障されている未来などないわけですから。

さて、少し話過ぎました。
嫁からの「未来予測と対策が最もできていないのはお前だ!」という叱咤に傷ついた心を女医に治療してもらう時間が近づいていますのでこの辺りでお開きにしたいと思います。

えっ、楽しそうだって?
えっ、本当に医者なのかって?

細かいことは気にせずに¥女医しましょうよ。
今日はですね、内緒ですけど期待値高いとおもっているんです。さっきの電話の感じでは(笑)
エンジョイピーポー!

この記事を書いた人

ノンブル・マーケティング代表
  斎藤 晃一  Koichi Saito
大手ホール企業で培った分析・マーケティング力を武器に、出店や既存店強化などを支援する