【解説】技術上の規格解釈基準改正 -とある開発者の独り言-

既に公になっておりますのでご存知の方が多いと思いますが、2022年3月30日に警察庁より技術上の規格解釈基準の改正が発表されました。

ぱちんこについては時短の作動契機等に変更が入ったとのことですが、その解説は専門の方にお任せするとして・・・
自分の方では回胴について、この改正に至った経緯や今後の流れを簡単に解説したいと思います。

改正の内容

回胴の解釈基準改正は一点。
(1)ヌ(イ) に下記の一文が追加されました。

遊技中に遊技を停止することを可能とする性能であって、あらかじめ定められた遊技を停止させる条件に達する前に、その条件に達するまでの定量的な変化を遊技者の遊技の公正を害さないように報知する措置が講じられているものは、本規程に抵触しない。

巷では「安全装置」などの言葉で報じられていますが、平たく言えばリミッター機能。リミッターに到達する前にプレイヤーにちゃんと告知してれば問題ないよ、ということが書かれているわけです。

この機能、開発内ではコンプリート機能と呼ばれています。

改正に至った経緯

なぜこんな機能を搭載することになったのか。それはズバリ
スマートパチスロ=メダルレス遊技機にて差枚2400枚への緩和を実現するため です。

スマスロでは有利区間のゲーム数が無限になることは皆さんご存知かと思います。
ゲーム数が無限になりMY2400枚が差枚になったら、無限に吸い込んで大量に出玉を吐き出すことも可能になってしまいますよね。
そこにきちんと制限を設けて行き過ぎた射幸性の機械が出てこないようにするための機能がコンプリート機能、というわけです。

即ち、有利区間ゲーム数の撤廃&差枚2400枚とコンプリート機能はセット

  • 有利区間:メダル機は4000ゲーム・メダルレスはゲーム数無限
  • 差枚2400枚
  • コンプリート機能

この3つの機能をもって6.5号機と呼称する、というのが組合の考えのようです。

先日、日工組・日電協から今後の展望についてのアナウンスがありましたが、そこでも「四千ゲーム機」という言い方をしていましたよね。
コンプリート機能非搭載の機械は6.5号機とは呼ばない、という考えが読み取れます。

まとめると
最大限の緩和を勝ち取るために最低限の規制を追加した、その規制がコンプリート機能
という理解で良いかと思います。

コンプリート機能の概要とその影響

続いてコンプリート機能の概要です。
簡単に説明すると、
出玉がリミットに到達すると打ち止めになり、その日は遊技出来なくなる
という仕様となります。
で、そのリミットはというとMY19000枚です。

・・・残念ながら、現状の6号機のスペック・仕様では1日で出ることはほぼ無い枚数ですね涙

ですので遊技機の出玉面やゲーム性の面での影響は全く無いと言ってもよいでしょう。
開発現場としては、市場で見ることのない部分に手間と時間をかけて組込やチェックをしないといけないので、面倒が一つ増えた感じですが苦笑

今後の流れ

解釈基準改正が発表され、コンプリート機能搭載機の申請は4月22日から受付開始となります。
つまり販売するためにはコンプリート機能必須のスマスロの申請もその日から開始、ということに。
また、メダル機においてもコンプリート機能の搭載は必須となりますが、既に開発中・申請中の機械もあるため数ヶ月の猶予期間が設けられます。
ここから数ヶ月は4000ゲーム・差枚2400枚のみに対応した暫定的な機械の販売が続き、秋〜冬以降はコンプリート機能搭載の6.5号機が登場してくるという流れとなりそうです。

以上、簡単ではありますが解釈基準改正に関わる一連の解説でした。
リミッターが付いたとは言え、回胴においては実際の影響はほぼ皆無です。
単純にスペック・ゲーム性が大きく向上した機械が登場してきますので、是非ご期待いただければと思います!