この記事を書いた人
ノンブル・マーケティング代表
斎藤 晃一 Koichi Saito
大手ホール企業で培った分析・マーケティング力を武器に、出店や既存店強化などを支援する
どんなSMがお好きですか?
SはスロットでMはメダル。
この時代にパチスロの業績をアップさせることを考えるだけでも、もうSMの世界です。
Sはサティスファクション。Mは満足。
かつて東京でハラミを広めた伝説の名店「恵比寿虎の穴」の経営者である辛永虎氏は、永吉矢沢ばりに語ってくれました。
「やれ希少部位だ、やれ熟成肉だと、シノゴノいう暇があればビールジョッキをマイナス30度に冷やしておけ」
「それが顧客のサティスファクションであり、満足だ!」
続けざまに辛氏は
「うちの店は、乾杯禁止だ。せっかくのキンキンに冷えたビールが人数分揃うのを待つうちに温くなってしまう。それではサティスファクションにつながらない。最高のコンディションのビールを最速で提供し、顧客に満足してほしい。これが俺のサービスだ」
と言い放ちました。
このパワーワードは私の記憶の2ページ目あたりに大きく鎮座しています。
そしてSはサディスティック。Mはマゾヒズム。
あるSM女王は
「男は縛られて初めて、俺やっぱりMかもと気づくのだ」
と言いました。これはシークレットモードの4ページ目に記録しています。
私はマーケティング支援の仕事をしているのですが、最も重要なことは正解を授けることではなく、気づきを与えることです。あっ、そっか。これだ……この瞬間にイメージは爆発し、未知の扉の向こうへ沸きあがるエネルギーを解放することができます。
これは双方にとって堪らない瞬間(Super moment)です。
さらに女王は語ります。
当然、プレイを開始する前にはカウンセリングはします。相手がなぜこの場に来たのか?相手のニーズがわからないとその先にあるウォンツ(してほしいこと)にたどり着けない。
ウォンツには大きく分けると、物への固執と行為への固執があっていくつかにパターン化ができます。
当然、満たしたいのも性欲だけではなくて、Playを通じて得られるのは支配欲と知識欲。
人の多様性を知ることで知識欲を満たされるし、調教をすることによって支配欲が満たされます。性という単純なものではなく、人の脳の中に広がる巨大な妄想が生み出す複雑性に富んでいます。
そんな話を聞きながら、皆さんも感じませんか?パチンコの店長もSの女王に近いものがあるって。
理論武装をしても業績は上がらない
稼働を上げる方法を知って、世の中のトレンドを知って業績が上がるのであれば繁盛店は作れるのか。
トレンドランキングを見れば、どんなプレイが流行っているのか。
この道具はどのように使えばいいのか?というハウツーを学べば十分なのか?もちろん、それで十分なはずはありません。
ヒールというウォンツに対し、ただただヒールを提供するのであれば、それは女王ではなく靴屋です。どのようなプロセスを経てヒールに固執し、ヒールを求めているのか?そのプロセスを無視してヒールを振りかざしているようでは、救世主ではなく単なるヒール(Hell)です。
顧客のニーズを無視して、ハウツー通りに設定をいれているのに稼働が上がらないのはバカで鈍感な客のせいと武器を振り回すヒールに成り下がっていませんか?
顧客がリピートするのは嬉しいからではなく、悔しいからです。顧客が投資をするのは満足しているからではなく、不満足だからです。顧客が定着するのは不満足の連続中に不定期に奇跡のように満足する瞬間(Super moment)があるからです。理論で学んだ顧客満足を武器に顧客を追うから顧客が逃げるのです。
女王は言います。
「相手を追うことは支配されている状態と同じ。そのような意味では私たちは常に相手を支配しているのです。だから常に冷静だし、本質的な意味では相手を好きになることはないから余裕がある。戦う前から勝っているのです」
公私を混同しないから戦わずして勝てる。という孔子の兵法を地でいく女王の言葉、なんてヒップホップ。
Hey! Ho!
マーケティングは理論ではなく実践
顧客に追わせることは、決して顧客を雑に扱うことではありません。むしろ信頼関係を掴み、【時折】顧客の想像を超えるサービスを展開する。その【時折】が報酬系依存を作り出し、いつあるやもしれぬ最高のひと時を待ちわびる。
それはあくなき顧客への興味と良質な体験(Super moment)を作りたいというエネルギーに他なりません。
百戦錬磨の兵達が発する【顧客を追いかけさせる】パワーワードの数々。これは知識から得たのではなく、実践から紡ぎだされた魂の声です。
先日、今後のパチスロを牽引するであろう『チバリヨ』で高稼働をたたき出しているマネージャーがSNS配信の中で、「設定は入っているのですか?」とダイレクトな質問を受けた際にこのように答えていました。
「設定に関わる回答はできない。だけど液晶もついていない機械が当たらなければつまらないだろ」
高稼働であるためには顧客に追いかけさせることです。今日はやれる日(他の日はやれない日)ではなく、今日はやれそうだの繰り返しの中で至極のエクスタシーを体験するんです。
本物だけが生き残る時代
セブンイレブンの伝説の経営者(Super manager)鈴木敏文氏は
「サービスを顧客の立場で想像するな。顧客を上から見下ろすな。顧客に成り代わって感じろ」
と鼓舞しています。マーケティングとは顧客に迎合し、追いかけることではありません。追いかければ顧客に支配され、顧客の奴隷となりさがります。
顧客のSM(サティスファクション&満足)は満たして当然です。満たせなければ不満が残るだけです。
その満足の過程をどう楽しめるか。脳が壊れ、自我が崩壊し、狂喜乱舞する体験を作れるか否か?
SM(伝説の経営者)の道だと辛永虎氏、鈴木敏夫氏、○○似のSM女王はM(みんな)に投げかけている気がしてなりません。
小手先のやり方が通用しない時代だからこそ、本物が生き残るのです。
そうです。そこのあなた。この時代を謳歌しようではありませんか。