スペック設計 -ぱちんこ開発日記-

こんにちはめんつゆです。

「百匹目の猿」という現象をご存じでしょうか。
「ある行動や考え方が一定数以上を超えると、接触のない遠く離れた場所の同類や仲間に伝播する」とういう生物学者が唱えた架空の現象です。

ぱちんこのスペック開発に置き換えると、よく似た仕組みを使ったスペックが他メーカーから同じようなタイミングでリリースされることがありますよね。

規則や解釈基準、内規変更などのレギュレーションが変わった場合、類似仕様の機種が複数メーカーから多く申請されたりします。
しかし、これは横のつながりで情報共有を行って開発しているというわけではありません。

レギュレーションの変更タイミング以外でも、新仕様の類似機種が複数メーカーから登場したりする場合もあります。まさに「百匹目の猿」があてはまりますね。

よく「来月納品のA社αは先週入ったB社のβをパクった」みたいな話を聞くことがあります。開発期間を考えるとαとβはひと月程度のラグなのでβの販売活動中に仕様を見て仕様変更することはほぼ不可能です。

仮に模倣する場合、演出変更や追加など、開発力の高いメーカーであっても最低限の作業工程を見積もると一か月は必要となるでしょう。(もちろん模倣する内容にもよりますが)

模倣する方向へ急遽の変更方針が降りてきた時は、プロジェクト担当者はじめ外部協力会社が休日や睡眠返上で開発を行うことになります・・・

話は少しそれましたが、A社αとB社βのように似た新仕様が短い期間でリリースされた場合、後発であるA社の開発担当の心情はかなり複雑です。

メーカーによっては保通協へ申請し試験中であったとしても、先発の他メーカーとの差別化を図り短期間で修正せよと命じられたりすることがあります。
仮に修正なしで進んだ場合には販売時にB社βとの明確な違いや優位性を求められるからですね。

また短期間で修正を行った場合、不具合のリスクも高まるため大入賞口や電チュー、非電役物関連の修正は特に気を付ける必要があります。短い検証期間では見つけきれないことがあり、そういった事案が多々発生したりしています。

これまで発生した事例だと非電作動口へのイレギュラー入賞発生での時短数減少や輸送時でのトラブルなどが実際に発生しています。

これらのことから、リテイクなく時間を浪費せず円滑なプロジェクト進捗をもって開発することがやはり重要と言えそうで、「百匹目の猿」現象に怯えることなく、自信をもってリリースすることが開発として一番大切なことと言えるかもしれません。

実際は開発中に色んな意見や社内でのバランス調整で中々難しいんですけどね・・・

ということで今もどこかで起きていそうな「百匹目の猿」現象。
そんな点も注目しながら新機種の仕様などに注目していただければ幸いです。