事故物件をさらす意義とは!! -実践主義マーケターからの提言-

美しく小さな鈴の音がシャンシャンと聞こえます。
何の音ですか?と尋ねると、

「これ魔除けです。どうやら事故物件らしきものに当たってしまったようで、内覧の際に頭痛とだるさが抜けなくて・・・今度お祓いをする予定何ですが、それまで身に着けようと思って」

大島てるに載っていたのですか?

「それが載っていないのです。物件価格が相場より2割程度安かったのと、それ以降体調がすぐれなかったので不動産屋を問い詰めると、自殺のようですが、そこで亡くなってはいないようです。ですから心理的瑕疵による告知義務はなく、大島てるにも載っていないという訳です」

「よほどの試練と苦しさを味わったのでしょう。怨念だけがそこに留まっているようなのです。やすらかに成仏してほしいです」

すごい。おおきくやすらかな心ですね!

「さらに値引きさせましたけどね(笑)」

ナイスですね👍

大島てるの存在意義

事故物件サイト、大島てるを運営している大島学さんは東京大学卒のバリバリのエリートです。
デジタルタトゥとも揶揄されるサイトに消えない情報を載せることによる家主の不利益以上に、情報を隠蔽されることによる借主の不利益を是正したい。知る権利を守るための運営サイトだといいます。

大島氏は語ります。
「大金を投じて買う身になると、徹底的にあら探しをする必要があるわけです。大損しないために。雨漏りや、シロアリや、暴力団の事務所だとか、ハッテン場だとかは調べればわかることもある。しかし事故物件の情報は3年後には消えてなくなってしまう。知りたい人が知る権利を守る必要はあると私は思う。みたくない人は見なければいい」

わたしは必ず見ます。
私の家は事故物件の情報はありませんが、私の斜め前方の家は事故物件になりました。先日、高齢の方が孤独死をされたためです。

このサイトがなければ臆病者の私は日々未知なる恐怖と戦い、怯えながら日常を過ごすことになっていたでしょう。
1年で200泊する私は泊るホテルでも必ずチェックをせずにはいらせません。
霊感があるとか、感受性が強いとかは全くないのです。全くないがために「見えないもの」「わからないもの」が怖いのです。

売上をあげる3つの方法

そんなことを考えながら、いつものようにGIS(地図情報分析ソフト)を眺めていたら、不思議なことにパチンコ店の存在が事故物件のようにしか見えなくなりました。

1000円で3回しか回らない。交換率が半分。スタートチャッカ―上で釘がかり。
目の前にパチンコ屋があっても事故物件かもしれない恐怖で立ち去る経験は多々あるのではないでしょうか。
情報を整理することで、いつでもどこでも安心をして玉を弾くことが出来るなら、業界の貢献になるやもしれません。
私利私欲にまみれたパチンコ店のデジタルタトゥ、管理人はドバイから更新する必要がありそうですね(笑)

冗談はさておき、売上を上げる方法は3つあります。

① 売る理由を増やす
② 売れない理由を潰す
③ 別の人に売る

ありがちなことが、①売り込むことに一生懸命になってしまうことです。
ⓐこの物件いかがですか?なんと市場価格の2割引!しかも新築同様、築浅5年!!(新築間もなく事故物件となり、買い手がつかないまま)。さぁ買ってください(私は遠慮しますけど)。さぁ買ってください(ノルマが足りないんです)

ⓑ国産牛激安! なんと100g99円!!(賞味期限があと6時間)さぁ買ってください(廃棄ロスで怒られるのです)さぁ買ってください(明日店休日なのです)

一方的に利得情報を押し付けても、顧客はなぜ安いか?の理由に納得しなければ買うことが出来ません。重要な情報を隠してセールスをし、後に判明すれば大きなクレームとなり、瞬く間に悪評が広まり、長期的な売り上げ損失は避けられないでしょう。

商売において大切なことは、①売れる理由を作る前に、②売れない理由を潰すということです。

ⓐのケースでは、告知情報をしっかりと伝え、その件が問題なければとてもリーズナブルなこと。※そのようなことは全く関係がない。結果的にリーズナブルであることにメリットを感じる方にとっては魅力的な物件です。

ⓑ肉の産地、部位、生産者、品種、賞味期限などを開示し、問題がなければともリーズナブルなこと。※今日の夕食であれば全く問題にはならない。

見えないこと、わからないことが人の購買にブレーキをかけます。
時価のすし屋に私は気軽に入れません。駅前の軽トラの果物販売で私は買い物をしません。
大島てるが≪物件の売れない理由を潰す≫ことによって経済を活性化させているのは間違いがないと考えるのはそのためです。
価格表記ができないパチンコ店は買わない理由に溢れています。この問題にどう向き合うか。

分からないことが恐怖であり挑戦を妨げる

未知なるものへの挑戦が好きな人は少数派です。危険を察知し回避するという能力は、生命を繋ぐという意味で素晴らしい本能です。ですから、あえて危険を冒し、生命の危険に冒されようとも未知なる世界へ導かれてしまう遺伝子は確率として残りません。生命は臆病であることで守られるのです。

私たちパチンコ業は、本能としてリスクを嫌う保守的な遺伝子で構成された人間に対し、価格表示も成分表示もしていない高額な商品を買って(投資して)いただく商売です。これは並大抵のことではないのです。

結局はマネーゲームだから・・・、立地勝負だから・・・、超大手資本が業界参入したら一溜りもない。これは真実なのでしょうか?

実体のないものを売るために、初期投資で数十億の投資をし、さらに数億円もの出玉放出をかけ、目では測れない顧客信用と期待感を構築し、常に新奇性を刺激し、離反理由を潰し、五感を通して投資意欲を刺激し続ける。
日本にカジノが存在しない限り、そのノウハウは私たちの業界にしかないのです。
裏を返せば、顧客の警戒心を取り払い、ファン化する為にはそれ相当の体験と時間を要するということになります。

6.5号機は打てない低設定を見事に潰したからこそ・・・

世間では6.5号機が実績を出し、パチスロ大氷河時代に明るい兆しが見えてきました。出口の見えない暗黒期が終わり、新しい時代の幕開けを予感させるに十分なスタートではないでしょうか。

だからこそ、6号機に失望し、6.5号機への期待と不安を胸に未だ休眠しているパチスロファンが回復するこの時期にシッカリと6.5号機の魅力を伝える必要を感じるのです。
 具体的に何をすれば良いって?
 少台数で稼働しているのに設定を入れる理由がないって?
 低設定で万枚を期待できるのに、高設定を入れる理由はないって?

分かります。様々な理由も分かります。
打てる低設定、見返りを求められる低設定を体感していただければ離反客が戻る気がすることも分かります。
でもそれをどうしたらより多くの人に伝えられるのか?業界のためには≪正義と悪≫の店を晒すのではなく、≪事故った出玉≫を晒すことのほうが業界の発展になるのでしょうか。
スマスロ、6.5号機、高差玉情報サイト、事故ってる。全国のスランプグラフから明日の事故り台を徹底予測。事故物件好きな諸君にはたまらない。さぁ、事故物件に酔いしれろ!

今日もラッキー。憑いてる。憑いてる。
と考えるのか、

いまこそ顧客信用と期待感を構築し、新奇性を刺激し、離反理由を潰し、五感を通して投資意欲を刺激し続けるのか、そのノウハウの見せどころかもしれませんね。

この記事を書いた人

ノンブル・マーケティング代表
  斎藤 晃一  Koichi Saito
大手ホール企業で培った分析・マーケティング力を武器に、出店や既存店強化などを支援する