100%の努力の先にあるものが”運” -目標達成のために必要なこと~太平洋横断したヨットマンからの提言~-

どんな勝負にも運はつきものとされています。マラソンやボクシング、パチンコやマージャンなど、あらゆる勝負事には運がつきまといます。古くから「運も実力のうち」と言われていることからも、常日頃の努力と幸運が結実してこそ、望む好結果をもたらすと言っても過言ではないでしょう。
どのようにして運を呼び寄せるのでしょうか。ただ単に「幸運を祈る」「神頼み」では、運を引き寄せることは難しいと言えます。

パチンコであれば、お店に足を運んでデータを取ったり、情報を収集してお店の傾向を把握したりすることで、勝率を高められるはずです。長いスパンでみれば、適当に台を選ぶ人に比べて差がつくのではないでしょうか。

つまり、周りが「あの人は運がいい」という評価をしている場合でも、当人にとっては努力の結果、あるいは実力通りの結果であることが多いのです。

スポーツであれば、その結果が「運」ではなく、努力や準備の賜物だということが見えやすいのですが、ビジネスシーンでは意外と「幸運・不運」で済まされてしまうケースが多いように思います。
「業界が右肩下がりだから」
「デジタル化によって紙商品が売れなくなった」
「不況だから」「規則が変わったから」

私が関わった経営者の方からもこうした声を聞くことがありましたが、これは運ではなく、残念ながら努力不足と言えるでしょう。
ビジネス環境の変化は必然なのですから、それに備えて準備をしてきたか。自らの影響力で結果を変えられることであるはずなのに、その影響力を高める努力を放棄して「運任せ」にしてしまっているケースは非常に多いと感じます。
 
 私はヨットで大阪から米国・サンフランシスコまで、太平洋横断の航海に成功しました。
これは「運」も大きかったと思いますし、成功の要因を人から聞かれた時「運が良かったからです」と答えることもあります。

しかし、当然ですが、3年余りをかけて用意周到に準備をしましたし、本番の航海を何度もシミュレートして、自分に必要な能力やスキルを鍛え上げてきました。それでも、人の力では太刀打ちできない自然の変化、例えばハリケーンに遭遇してしまうといったことがなかったのは、運が良かったと考えていいと思うのです。

どんなに準備をしても、出航日を迎えても不安はゼロにはなりませんでした。それでも、出航して太平洋を横断できたのは「きちんと準備をしたのだから、必ずできる」と自分を思い込ませたからに、ほかなりません。最終的には、自分自身を信じて思い込んだ者の下に運は舞い降りるのだろうと、私は考えています。

ビジネスでも一般生活でも、運を呼び込むためには、最終的には思い込みも重要となります。「100%やり尽くした」「努力し終えた」という感慨に至ることは、実のところは至難です。
継続する競技、例えば野球などで一試合打てなかったからと言って、「実力不足だった」と振り返るより、「今日はついていなかった、また明日」と考える方が、メンタルマネジメントとしては正しいと思います。

しかし、運がなかったと考える前提として、「できる限りの準備をする」ことは必要です。そのうえで、「自分を信じる、思い込む、あとは運に任せる」の流れで、自分が得たい結果に近づけるのだと思います。

この記事を書いた人

  友田 享助  Kyosuke Tomoda
1977年生まれ。幼少期からヨットセーリングに親しむ。大学4年生だった2003年の夏、大阪から米国・サンフランシスコまで小型ヨットで太平洋単独無寄港航海し、78日(約2カ月半)で太平洋横断を達成。当時、サンフランシスコの地元新聞に「Pacific Traveler」と称された。その後、新聞記者を経て、American Sailing Association(ASA)認定のセーリングインストラクター資格を取得。ヨットによるビジネス研修を行うほか、全国で講演活動などを行っている。