6号機 自主規制まとめ -とある開発者の独り言-

6月上旬に導入された山佐さんの「Sピンクパンサー」。
技術介入の高出玉率タイプということで台数は控えめですが、1ヵ月以上経過した現在も高稼働を続けておりますね。

自分はまだ打てていないので感想を述べるのは控えたいと思いますが、開発として非常に驚いたのは「フリーズ確率・バウンドストップ確率のカスタマイズ」「疑似遊技による目押し練習モード」を搭載している点!

ゲーム性にバリエーションを持たせる要素・初心者に優しい要素として非常に素晴らしいと思いますが、リール演出カスタムも疑似遊技もかなりメインの容量が嵩む仕様だと推察します。

開発者のこだわりを搭載するために他のプログラムを様々な手法で圧縮して搭載したのでしょうか・・・感服です。

こういった要素を搭載することが出来たのは、組合による自主規制の緩和によるもの。
組合の折衝努力の賜物かと思います。

ということで今回は、前回の6号機タイプ整理に続き、6号機の自主規制まとめをご紹介したいと思います。
これまで個別に記事で書かせていただいた内容と重複するものも多々あり、また本当に細かいものはさらっと割愛しておりますがご容赦いただければ幸いです。

ノーマルタイプ、AT機など全ての遊技機に対する自主規制

・遊技者に遊技の結果を誤認させないための演出ガイドライン

こちらは過去記事「演出に関する規制について」でも触れた内容ですね。

例えば中段1ラインの機械において、上段などの無効ライン上にベル図柄を揃えてあたかも入賞したかのようにリールバックランプや液晶で演出していたものを警察庁が問題視し業界に是正を求めたため、パチスロを初めて遊技する遊技者でも遊技の結果を誤認することのない機械とすることを目的として制定されました。

また、液晶上に表示されるビデオリールを用いて遊技させる機械については遊技者が遊技の結果を誤認するおそれがあることから、2018年には開発を自粛することになりましたが、その後2019年にはビデオリール等の規定を演出ガイドラインに追加することでビデオリール演出の自粛は解除されております。

バジリスク絆2などの液晶リール機はこの規制緩和によって実現されているんですね。

・遊技機に備え付けられた装置(ボタン等)の使用方法

遊技終了後のフリーズ中などにボタンを使ったミニゲームのような仕様でAT抽選を行っていた機械に対し、警察庁が問題視し装置の目的外使用を禁止するよう要請されたことを受け、ボタン・レバー等の使用目的を整理しました。

当初、遊技に使用されるボタン・レバー等について、遊技の目的以外の使用は一切禁止することとしていましたが、ATの性能に関する基準が整理されてATに係る処理の契機を定めたことから、遊技の結果に影響を与えることがない演出の契機としてボタン・レバー等を使用することは差し支えないものとされました。

また、リールの回転が一定となるまでの間に行われる回胴演出と装置の目的外使用を組合せた「疑似遊技演出」については、豊かな遊技性を創出する目的でガイドラインを制定されて自粛が解除されております。

ピンクパンサーの目押し練習モードも、この規制緩和を元に実現したものです。

・第二種特別役物(MB、CB)を搭載した遊技機

5号機のAタイプなど多くの機械において、MB・CB中に全押し順で引き込み率=1で取りこぼしが一切無いものが見受けられましたが、第二種特別役物が導入された本来の主旨と異なるため引き込み率=1とならないようにしたらどうかと警察庁より提案されました。
これに伴い、「MB・CB中は全押し順で引き込み率=1とならないようにする」という取り決めがなされております。

5.9号機以降の機械で、いわゆるバケ扱いのMB中に小役を取りこぼすバッドポイントがあるのはこの規制によるものです。

・役比モニタの搭載

これはプレイヤーの皆さんには関係のない内容です。
サブ基板の不正改造の問題があり、国会(衆議院内閣委員会)の場で、遊技機にスピードメーターのようなものが無いのが問題であるので設けるべきという意見が出されたこともあり、業界側から提案がされました。

5.9号機以降、筐体内部の7SEG等で、有利区間比率・連続役物比率(6000回)、役物比率(6000回)、連続役物比率(累積)、役物比率(累積)が表示される仕様となっております。

・役物及び役物連続作動装置作動時の遊技回数に関する自主的な措置

常時BB中に滞在するATタイプについては規則の趣旨に反するため問題となるおそれのある性能として警察庁から指摘を受け、対応が検討されました。
全ての遊技回数のうち、ボーナス中の遊技回数の割合を5割未満とし、その割合を識別できるよう役比モニタに表示する仕様となっております。

頭文字Dなどの通常時にボーナスに滞在する機械ですと抵触する可能性が高まりますので、留意して開発する必要があります。

・コンプリート機能の搭載

一日の営業中における遊技枚数が最も減少したときを基準として、その基準からの遊技メダルの増加数(MY)が著しく多くなることが無いように、MYが一定の数に達した機械を停止させる「コンプリート機能」を搭載することについて業界側から要望し、容認されました。

過去の記事で「今後の機械で差枚2400枚はコンプリート機能とセット」という説明を致しましたが、コンプリート機能は全ての遊技機に適用される自主規制になりますので
ノーマルタイプやリノタイプなどにも適用されることになるかと思います。

・打ち止め機能に関する自主的な措置について

コンプリート機能と、従前より搭載していたBB終了時の打ち止め機能を区別し搭載できるよう、自主的な措置として打ち止め機能の搭載要件が改めて策定されました。
ジャグラーなどのAタイプでいまだにBB終了時の打ち止め有り無しを切り替えるスイッチが搭載されている機械がありますが、最近は随分減りましたね。
昔は「一発目のビッグでクレオフ・打ち止めになれば設定6!」といったイベント等で使われていました。懐かしいです。

AT機・ART機に対する自主規制

・6.0号機基準制定

5.9号機の基本概念を維持しつつ新たな基準を整備し、ATタイプの開発を可能とすることを目的に制定されました。また、5.9号機では設定差の無いフラグでしかART関連の抽選が出来ませんでしたが、「設定差あり」を許可する考え方も追加されました。
また、有利区間のクリア条件に「MY2400枚」も追加されました。

・6.1号機基準制定

ATに関する基準において曖昧だった性能の基準を明記する修正と、ベースカット目的のペナルティ基準が制定されました。
また、上述の擬似遊技に関する規制緩和がなされたのもこのタイミングでした。

・意図的解釈の整理

有利区間を意図的に繋げる性能に対し警察庁から指摘を受け、意図的に繋げることの問題点を整理し、問題ない仕様の解釈の整理を行ったものです。

・6.0号機基準と6.1号機基準の併用延長

コロナの影響とペナルティ基準の整理の長期化により、6.0号機基準の併用期間が延長されました。

・最低出玉試験の見直し

最低出玉試験の見直しを組合から警察庁に要望し、認められました。
ペナルティを搭載した機械の下限試験の適合率を上げるため、最低出玉率に関しては押し順ナビが出ている時には押し順ナビに従った試験をすることとなりました。

・6.2号機基準制定

この辺りからは皆さん記憶に新しいところかと思います。
過去記事でもご紹介しておりますのでそちらも合わせてご覧ください。

6.2号機では、有利区間終了条件の一つである1500Gリミッタ規制を廃止し、有利区間3000Gリミッタ規制とすることに決定しました。

・6.3号機基準制定

6.1号機基準の偏りベルの整理と、スマスロの定義が行われました。

偏りベルについてはそれまで暫定的な基準で運用されてきましたが、このタイミングで演出面も含めて恒久的な基準としてFIXしております。
スマスロの緩和内容について有利区間ゲーム数を無制限とするのみ、と決まったのもこのタイミングです。

・6.4号機基準制定

プレイヤーがヤメやすい環境を作っていた有利区間ランプの搭載を任意としました。
実質、有利区間ランプの撤廃です。

開発としては、ほぼ全てのプロジェクトがその先に見えていた6.5号機に切り替える形でしたが、「スーパー海物語inJAPAN祭」や「スーパーハナハナ」など、有利区間ランプ撤廃のみ対応しMY2400で市場導入された機種も一部ありましたね。

・6.5号機基準制定

もはや説明は不要でしょう。
有利区間の枚数をMY管理から差枚管理へ変更、メダル機の有利区間ゲーム数を3000Gから4000Gに変更、コンプリート機能の搭載。
これが6.5号機の規定です。

なお、現状は6.5号機のメダル機の申請は2023年3月までとなり、以降はスマスロの開発を推進していく予定となっているとのことです。
とはいえ部品不足によるユニットの供給不安など課題もあるので、今後組合で議論され延長となる可能性もあるのではないかなと思います。

以上、6号機の自主規制まとめをご紹介しました。
7月から本格的に導入が始まった6.5号機ですが、カバネリや犬夜叉、アクエリオンを筆頭にとても盛り上がってきていますね!
今後どんな性能の機械が出てくるのか開発としても非常に楽しみです。

出玉性能だけでなくゲーム性や演出にも影響の大きい自主規制、何か動きがあればまた記事としてまとめてみたいと思います。