パチスロ開発のお仕事紹介〜リール配列・停止制御編〜 -とある開発者の独り言-

「機械代と開発費」の記事でも少し書きましたが、遊技機の開発は様々なジャンルのスペシャリストが集まってチームを組んで行われています。

面白いパチスロを作ろう!という1つの目標に向かって、各々の専門分野でこだわりを持って一機種一機種制作に打ち込んでいる。
それはどんな台でも同じ。全ての台の全ての要素にそうなっている何かしらの理由がある…はずです。

そこで、各セクションのスペシャリスト達がどんなことを考えてどんな思いで制作をしているのか、この場をお借りし「パチスロ開発のお仕事紹介」と銘打ち勝手にシリーズ化して、ホール関係者様やプレイヤーの皆さんにお伝えしていければと思います。

シリーズ化と言いつつ気紛れ更新になってしまいそうですが、開発の中身が気になる方がいらっしゃればご覧いただけますと幸いです。

第一回となる今回は、パチスロの心臓部であるメイン制御の中でも【リール配列・停止データ作成】にスポットを当ててご紹介していきます!

リール制御作成に必要なスキル

回胴式遊技機・パチスロ。
リールを回して止める、それがこの遊びの中核となる部分です。
どんな出目が出るのか、何が揃うのか。

停止するごとにどんな演出が起きるか、次のレバーで何が起きるのか。
パチスロの遊技は基本的にリール関連が起点・トリガーになります。

その非常に重要な根幹であるリール配列・停止データ作成のスペシャリストには

  • 基礎となる遊技機規則に関する知識

  • 配列・停止と密接に関係する出玉設計に関する知識

  • 限られた容量にデータを詰め込むためのメインプログラム・制御に関する知識

  • フラグ、停止、出目に応じて発生する演出も考慮して配列・停止を組み立てるセンスと想像力

  • そして何よりリールを愛しとことん作り込む情熱

といった要素が必要です。

あ、あとは
全ての押し順と押下位置からどう止まるかという膨大な量のデータを作る忍耐力や整理・管理能力も重要です。
めんどくさがりの人にはなかなか難しい作業かもしれません笑

逆にリール配列・停止の知識を習得すれば、
新たな仕様を考察する際に自ら検証出来たり、
他社の機械を見た時に配列や配当から様々な情報を得ることが出来たりと、習得していない開発者とは一線を画すことが出来ると思います。

いずれにせよ、やはりリールを回して止めるパチスロ本来の遊びが本気で好きでないとなかなか務まらない業務です。

4号機から5号機 配列と停止の変化

そんなリールを愛して止まない開発者に衝撃が走ったのが4号機から5号機への移行のタイミング。
配列・停止に関する規則・解釈基準にも大きな変更が入りました。

  • 成立役を最大限引き込むこと
  • 停止テーブルを抽選で選択してはならない

といった点が非常に影響が大きく、5号機初期は出玉仕様やスペックだけでなくリール配列・停止の面白さという点でも魅力的なものを作ることが難しい時期が続きました。
当時はチェリーの上にBARを模したブランク図柄が置いてある機種ばかりでしたよね…

しかしながら、「ATとART」の記事や「ノーマルAタイプ」の記事でも少し触れた通り、リール配列・停止のスペシャリストたちの研究と検証、図柄の組み合わせやフラグ構成の試行錯誤を重ねることによる配列・停止の進化とともに出玉仕様やスペックも進化を続け、Aタイプにおいても4号機の配列をほぼ完全再現するほどまでになりました。

リールのスペシャリストたちのあくなき探究心と努力無くしてはここまでの進歩はなし得なかったことでしょう。

制作者の思い

ただ、悲しいことに…
液晶演出の進化や押し順AT機の台頭などによる時代の変化か、配列や停止に関するプレイヤーの関心は年々薄れていると感じます。
開発内でも同様で、配列や停止を作りたいという若者は随分減りました…

AT機でもAタイプでも、全ての配列・停止には意味があり開発者の思いが込められています。

「ここを押してこう滑ってここが止まったら実は2確なんだぜ」
「左のこのポジションはビタだとハズレもあるけど1コマ滑り以上だと小役以上」

みたいなこだわりが全ての位置の全ての滑りコマに詰め込まれているのです。

お仕事紹介、と言いつつ具体的な制作作業の中身などは全くお伝え出来ていませんが笑、それだけ機密性が高く専門性に特化した業務だと捉えていただければと思います。

配列・停止における新たな発想から斬新な出玉仕様が生まれることもありますし、配列・停止のブラッシュアップがベースカットやスペック向上につながることもあります。

出目のクオリティを保ちつつ停止データを圧縮出来れば、その分抽選等のゲーム性やスペック向上に直結する部分に容量を割くことが出来、機械全体のクオリティアップにもつながります。(規則には容量の上限も定められています

遊技の中核であり、開発の中核でもある非常に重要なセクションであるということが伝わりましたでしょうか?

是非、そんなことを頭の片隅に置いて、これ何でこうなってるのかな~とか、おれだったらここ押してこう止まったら熱くするな~とか考えながら、そして開発者の思いを想像しながら打ってみていただけたらと思います。
新たな世界が開けるかもしれません笑

第二弾があるか分かりませんが、次の機会があればまた違うジャンルの開発のお仕事をご紹介したいなと思います。