パチスロ開発のお仕事紹介〜申請書類作成編〜 -とある開発者の独り言-

3月期末に向けて、書類作成や整理などの事務処理に追われ忙しく過ごされている方も多いことだろうと思います。
パチスロ開発においても、企画・出玉設計や映像制作などクリエイティブな業務に目が行きがちですが、書類作成などの事務的な業務も当然必要なお仕事。

特に試験機関に提出する申請書類の作成は機械の適合・不適合に関わる非常に重要な業務です。

申請に関わる業務は

  • 行政・組合や関連業者との折衝・渉外
  • 申請部材の準備・チェック
  • 申請書類の取りまとめや製本
  • 申請予約対応
  • 実際の申請持ち込み

などなど多岐に渡り、おそらく全てのメーカーで申請専門の部署を設けて対応にあたっています。

そんな中で申請書類についてはプログラムに関するものなど開発でないと書けない部分も多々あり、申請部門と開発で連携して作成していく必要があります。

ということでパチスロ開発のお仕事紹介シリーズ第7回となる今回は、【申請書類作成】についてまとめていきたいと思います。

回胴の申請書類の概要

まずはパチスロの申請書類の概要から。
諸元表、筐体の材質等ハード関連、プログラムや仕様・出玉設計の詳細が記載されたソフト関連についてなどなど、規則に則った性能となっていることを明示する別添書類の提出が必要となります。
物量で言うと大型のキングファイル3冊以上‼

かつて4号機の終盤には、全ての演出パターンとその時に成立する可能性のあるフラグを記載した書類を提出する必要がありました。
機種にもよりますが、その演出に関する書類だけで1万ページを超えるものもあったとか・・・

考えるだけで吐き気がしますね汗

そんな膨大な量の書類を取りまとめていくわけですが、ものによっては誤記やページ抜けで一発不適合につながる書類もあります。
せっかく出玉試験を通したのに書類不備で不適合になってしまったら目も当てられません・・・
専門の部署を設けて人をかけて書類を整える必要があることもご理解いただけるかと思います。

また、申請書類のチェックや取りまとめを通して規則理解度が深まり仕様やゲーム性・出玉設計の基礎を学ぶことが出来るというメリットもあります。

そのため、新人が入社したらまずは志望する職種に関係なく回胴の全容を把握出来る申請部門に配属し、パチスロ開発の基礎を叩き込むというメーカーさんが案外多いものです。

開発での申請書類作成

開発と特に関係が深いのは別添5というメインプログラムについての書類です。
プログラム基本仕様・処理のフロー、メモリマップやRAMの用途と値の範囲、出玉設計値、抽選処理のフローや抽選値の詳細、リールの回転・停止制御、サブ基板や外部端子板へのコマンド送信について、などなど。

特に出玉設計値や抽選値に関わる部分は書類不備が不適合につながる可能性があり、入念なチェックが必要です。

あともう一点、特定性能に関わる添付書類も作成する必要があります。
ざっくり言うとAT機・ART機において、遊技者が最大の出玉を獲得出来る遊技方法やナビを表示するまでの処理やナビの表示方法を記載する書類です。

メインプログラムに関する書類はプログラムソースがあれば申請部門で作成することも出来ますが、特定性能に関する書類は開発でないと書けません。
これも適合不適合に関わることもあり、昨今ではとても重要な書類です。


以上、簡単ですが申請書類作成業務についてのご紹介でした。

こういった事務仕事って人によっては地味でつまらなくて眠くなるものかなと思いますが、無くてはならないものですし誰かがやらなきゃいけない大事な仕事ですよね。

開発した機械を適合させて販売するには必要不可欠な申請書類作成業務、縁の下の力持ち的な存在で軽視出来ないなと改めて感じます。

自分も事務仕事をしていると眠くなりがちですが、気を引き締めて臨みたいと思います。