前回は「楽園立川店」のグランドオープンで活気づいた立川エリアの状況をお伝えした。
(今、視察するべきホール「立川での熱い戦いに注目」はこちら)
今回は同じく、8月7日にグランドオープンした『メガフェイス1180座間』を中心にレポートしてみたい。
神奈川有数の激戦区・座間エリア
まずは、座間というエリアについて振り返っておこう。全国的な知名度は高くない都市だが、実は神奈川県では有数のパチンコホール激戦区ともいえる場所だ。
パチンコホールが増え始めたのが2010年初頭から。工場や企業の後釜としてパチンコホールが出店するケースが増え、2012年ごろから短期間で設置台数が大幅に増えていった。
そのころのトピックは大阪法人の『デルーサ・ザ・マックス』の出店だ。派手な外観とパチンコマックスタイプ中心の営業がユーザーから絶大な支持を得て、神奈川有数の高稼働ホールとして知られるようになった。
この成功を皮切りに、県外企業の出店が相次ぐようになり、『デルーサ・ザ・マックス』から徒歩圏に関西大手の『123座間店』が。さらには『マルハン横浜町田店』『やすだ大和店』などの大手も進出。当時は居ぬき出店が増えていた時期だが、これらの店舗は更地からの新規出店で、力の入れ具合が感じられた。
このほか『トワーズ』の大型店や『デルパラ』の低貸し大型店なども出店。一方で、エリアが活性化するにつれ既存店は苦戦し、撤退ホールも目立つようになった。さらに、追い打ちをかけるように『メガガイア』(パチンコホール居抜き)や『スーパーD‘ステーション』(家電量販店跡地)などがグランドオープン。
その後『デルーサ・ザ・マックス』は閉店し、後に入った『メガガーデン』も最近、閉店。
大手チェーン・大型店による競争が激化し、生き残りをかけた戦いの第二幕に差しかかっているのが、このエリアの現状というわけだ。
得意なロードサイド大型店での出店
『メガフェイス1180座間』は元々『メガガイア座間店』だった店舗をフェイスが取得。ガイアグループのなかでも上位店舗だったが、資金調達のための売却だったことが伺える。
246号線・大和厚木バイパス沿いに位置するロードサイド型店舗で、激戦区のなかでも抜群の好立地だ。あえて、立地上の難をあげるならば、246号の交通量の多さで、同店近辺も渋滞する時間帯が多い。
とはいえ、それだけ「交通量」が多いということの表れでもある。フェイスの既存店である多摩エリアもそれに含まれるが、埼玉県の西部地区から西東京、神奈川西部地区のロードサイドは多くの業態が出店ターゲットとしている場所で、それだけ潤沢なマーケットがあるということだ。
フェイスグループは元々福岡県、それも県北部を中心にホール出店してきた企業だが、近年は他エリアへの出店に意欲的だ。熊本市には一昨年に超大型店『メガフェイス1450本山』、昨年は熊本新市街をオープンさせている。高稼働ホールが多いのが特徴的で、今や九州を代表する企業と言っても過言ではない。関東の方は『楽園』をイメージしてもらうと分かりやすいか。ただし、フェイスの主戦場は駅前ではなくロードサイドではあるが。
駅前店が得意な企業が郊外に出店すると失敗することが多い。その逆もしかり。理由は様々あるが、この話はまた後日。ここでは、フェイスが自分たちの「型」で出店した、ということにとどめておこう。
フェイスグループの強み「総合力の高さ」
訪問したのは8月20日。連日かなりの盛況ぶりを続けているという情報を耳にしていたが、同日も午前中には7割を超える稼働というさすがの強さを見せていた。パチンコでは1円よりも4円の稼働が圧倒的に高く、その4円のなかでもハイミドル機が圧倒的に強い、という「超優良店」ぶり。
店内で特徴的なのは、加熱式たばこを吸いながら遊技できるスペースが多いこと。2年前にオープンした熊本の本山店でも同様の試みをしたように、1000台規模で加熱式喫煙スペースを作ったのはフェイスグループが先駆けだ。
パチンコは『CR真・北斗無双』が84台、『P牙狼月虹ノ旅人』が64台。メイン機で競合店に圧倒的な差をつけた。認定機については、メガガイア時代の機械を受け継いだのだろうが、『牙狼』はメガガイア時代よりも増えている。
一方で、『海物語』系が少ない。フットワークが軽い若年層プレイヤーをターゲットにしたのだろうか、4円に関しては1000台規模の店舗として珍しい小さなシェアにとどまっている。『海物語』については、将来的な増台も視野に入れているのかもしれないが今後の動向に注目したい。
一方のパチスロはジャグラーが中心。20円パチスロ(正確には46枚貸し)456台中、4割近くをジャグラーで占める。ただし、100台近く保有するマイジャグラーシリーズを筆頭に殆どが5号機ジャグラー。今後の6号機ジャグラーの供給に懸念があるところ、今後のジャグラー島の変遷についても要注目だ。
ジャグラー系以外の多台数は『番長3』の38台。このほか、チバリヨなど「沖スロ」が34台という点が目についた。今後の6号機時代のラインナップを考える際、沖スロは非常に重要な位置づけになってくるはずで、決して沖スロ市場でないこの場所で、今のうちからこのカテゴリーに力を入れているのはさすがフェイスといったところか。
遊技機ラインナップの充実が「剛」の部分ならば、設備・接客・サービス面など「柔」の面でも全国大手チェーンと比べて見劣りしない。こうした総合力がフェイスの強さなのだろう。
プレイヤーにとって「ありがたいエリア」
さて、『フェイス』の最大のライバルになるのが徒歩圏内にある『ス―パーD‘ステーション座間店』だ。設置台数は1055台と規模的にはメガフェイスと比べてそん色がない。同店はHPや店内各所で「全国60店舗最重要旗艦店」と謳っており、力の入れようが伝わってくる。設置台数でも上回る海物語での優位性を生かし、どの程度まで食らいつけるか。
『D‘ステーション』は九州にも多店舗展開しており、『フェイス』の競合としての強さは認識しているだろう。そして、やり方はお互いに熟知しているはずだ。
このエリアは供給過多になっているがプレイヤーにとって、これほどありがたいことはない。オペレーターにとってはキツいだろうが、こうした状況が続くこと、良い意味での競争がパチンコ活性化につながるのは間違いない。両店の今後に期待するとともに、このエリアにプレイヤーとして通ってみたい。そんなふうに思わせてくれた今回の視察だった。