パチンコから4000億円が降ってくる -実践主義マーケターからの提言-

エロが空から降ってくる

1992年「エロが空から降ってくる。ファンタスティック!」
村西とおる監督はそう言って、衛星放送事業へ進出。有り金と魂すべてを打ち込んだ衛星放送事業は挫折し、約50億円の負債を追うことになります。

1999年、ノストラダムスの世界滅亡の大予言が外れ、人生設計をしていなかった私の人生が破滅する。

2018年、国内最大のアダルトサイトFANZAには年間3億5千万が訪れ、ネット回線を通じて世界中へ配信され、間もなく衛星回線を通じて無数のエロか空から降ってくる時代になろうとしています。

そして2019年、村西とおる監督の半生はネットフリックスで描かれ、2022年イーロンマスクの衛星ネットサービススターリンクによって、彼の叶うことがなかった情熱のスペルマが空からわたしのPCへ降り注いでいます。

雇われ店長が描く戦略

先日会議にて「1BOXパチスロを増設したい。年内に採算は取れる」という提案を受け、経営者が「雇われた店長が考えそうな戦略だな」と一蹴。
あまりに秀逸なパンチラインにわたしがケラケラと笑っていると、与えられた権限と予算の中で先見性を活かし、儲かるプランを提案した店長は納得がいかない様子で佇んでいました。

手法と設計だけでは人は投資をしない。投資家を動かすにはロジック以上にビジョンと共感を引出せるか。その後にそれを適える緻密なプランニングができているか。

経営者と店長の違いは、実行スキルではなく、投資を引出すエネルギーの総量だと思います。そのエネルギーは金儲けへの執着ではなく、人の役に立ちたいというミッションの壮大さだと思っています。       

「雇われた店長が考えそうな戦略だな」の真意は【方法】と【収益計算】の話だけで、【ビジョン】と【パッション】に乏しくライバルが対向してきた際の勝ち筋が描けていない為です。そのような状況下実行した場合、想定に反した結果になった際に「反省の弁を述べ、以降のチャレンジに消極的になる」ようでは財も人財も失うことになりかねない。

ビジョンに共感し、パッションに溢れ、多くの顧客が堂々と思い切って向かうべきだ。経営者の言葉は蔑みではなく、慈愛だということに気付いたとき人生のステージがあがるのでしょう。

孫子の兵法のなかにもこのような一節があります。
「定石通りの正攻法で対峙し、奇策を用いて勝つものである」
「奇策を適切に用いるものの戦術は、天地のように行き詰まることが無く長江や黄河のように涸れはてることがない」

村西とおる監督は巨額の負債を抱えても横浜ベイブリッジを「駅弁」で疾走し、イーロンマスクは莫大な財を成してもまだ、衛星インターネットサービス「スターリンク」にトライする。それは先見性や損得を超越した【男のロマン】としかいいようがありません。

先見性を高める

ロマンと先見性で満たされるほどにプレゼンは人を魅了します。わたしのような凡人は今の延長線上にどのような未来がまっているのか。その未来における課題や新たに発生するニーズはなにか?を妄想するくらいしかありません。

少しでも魅力的なプレゼンを行うために、すこしだけ未来予測を共有しましょう。

この資料は弊社でまとめている業界市場規模予測です。ここ数年で業界を揺るがした2つのトピックスがありました。

一つ目はスロット5号機の完全撤去で、多くの顧客が劣化したスロットから魅力的なパチンコへと流出をしていきました。その額は実に【年間約3800億円】。2つ目はコロナ過です。新型コロナウイルスによって業界は【20%の減益】、年間で【約6000億円の損失】を被ることになります。

その激動の時代も3年が過ぎ、コロナは5類へ移行し、パチスロは6.5号機とスマスロの登場で苦難の時代を乗り越えようとしています。業界の粗利規模は毎年回復し、2023年5月実績はパチスロの成長に牽引され【通常貸しの粗利額は前年比115%】の回復を見込んでいます。

全体業績が回復に向かう中で、パチンコ・パチスロの業績構造にも大きな変化が出ています。6.5号機の登場で業界の粗利構成は4円パチンコ粗利:20円パチスロは58:29から48:41まで変動しています。5号機が全盛期だった19年の粗利構成は43:43であったことからもパチスロの粗利成長はまだまだ継続するのは確定的です。

過去から現在の流れを明確にすることにより、未来のディテールはより明確になります。
その検証を多角的に、深く分析することによって、妄想から予想、予想から予測に変化します。

先見性からロマンを膨らます

パチンコからパチスロへの顧客回帰の流れとコロナダメージ回復の流れを明らかにすることにより、「いつまでに」「なにが」「どれだけ」成長するかが明確になります。

上記の資料にもパチンコは通常より4000億円近く業績は拡大し、魅力的なパチスロ登場と共に流入分はパチスロへ回帰することが、牙狼月虹が登場し市場に旋風を巻き起こした二年前にわかっています。

もっと絞ってみればハイミドルとATの間でこの金額が揺れ動くといっても過言ではありません。

このハイミドルとAT間で想定している粗利変動は年間3000億円です。加えて長期休眠客とコロナ回復客を合わせると実に4000億円近くのATの粗利が増えることが予測できます。

パチンコから降り注ぐ4000億円の粗利をどのように獲得していくのか?
その方法は記せませんが、全国で様々な成長事例と成長手法が確立されつつあります。

ここで店長のスロット1B0X増台のプレゼンを振り返りましょう。
「1BOXパチスロを増設したい。年内に採算は取れる」。

これに男のロマンを加えると
「4000億円のトリガーになっているのは間違いなく北斗です。今後増産が想定されている北斗2万台を全て押さえにいます。サミーに対して独占販売契約を結ぶために1000億円まで投資をさせてください。いや、中期的に成長市場の粗利シェアを40%獲得し、長期的に業界のトップシェアを確保することまで含めると1兆円程度の投資価値はあるはずです。企業買収もしくは経営権をとりにいくことまで考えています。」
「この業界は顧客創造への投資より、企業競争のために莫大な投資をしています。最高の機械を最高の状態で提供してこそファンのため。衰退市場と斜陽産業で勝ち残る術は圧倒的なリーダー戦略です。やるべきことを責任がとれる範疇でやれる分だけ実行するようなサラリーマン的企業が多い現代だからこそ勝ち筋が描けます。私たちが見失っていた顧客を奮い立たせフルベットさせる熱狂を作れるチャンスは今をおいてありません」

上手くいかなければ、全員路頭に迷うことになるぞ。

「大丈夫です。ノストラダムスの大予言では2030年人類に未曽有の危機がくると書かれています。千載一遇のチャンスを見過ごしたまま世界が終わっては悔いしか残りません。倒れるなら前に。これぞ男のロマンです」

2030年、ノストラダムスの世界滅亡の大予言が外れ失職する。

この記事を書いた人

ノンブル・マーケティング代表
  斎藤 晃一  Koichi Saito
大手ホール企業で培った分析・マーケティング力を武器に、出店や既存店強化などを支援する